
CPSCの電子申告って、アメリカへ売る商品を全部登録しないといけないんですか?

全部ではありません。最初に調べるのは、その商品にCPSCの証明書が必要かです。必要な商品なら書類と申告を準備し、不要ならその根拠を確認します。中古品も、ひとまとめには判断できませんよ。
CPSCは、アメリカの消費者向け製品の安全を扱う政府機関です。eFilingは、対象商品の適合証明書の情報を、輸入時に電子的に提出する仕組み。eBayだけの制度でも、関税を払うための登録でもありません。
この記事のゴール
扱う商品の情報をそろえる → 公式ページで規則・証明書の要否を調べる → 必要な情報を入手する → 輸入者・申告担当へ渡す。
「とりあえず登録」から始めず、今の在庫で何を確認するかまで進めます。
制度・公式資料の確認日:2026年9月24日。対象・費用・受付方法が更新された場合は、発送する時点の公式案内を優先してください。

CPSC・CPC・GCC・eFilingの違いを、先に整理しよう
| 言葉 | 何のこと? | 出品者が見るポイント |
|---|---|---|
| CPSC | 米国消費者製品安全委員会。製品安全を扱う機関。 | 商品の用途・素材・対象年齢に応じたルールを調べる。 |
| CPC | 子ども向け製品の適合証明書。主に12歳以下向けの対象製品で使用。 | 適用される規則、原則としてCPSC認定試験所の試験など、証明の根拠を確認。 |
| GCC | 一般向けの対象製品の適合証明書。 | 対象規則への適合を、試験・合理的な試験プログラム等に基づいて証明。すべてが第三者試験必須ではない。 |
| eFiling | 証明書の情報を米国税関のACEへ電子送信する手続き。 | 証明書があることと、貨物の電子申告が完了することは別。 |
「子どもが使う可能性がある」だけで、すべてCPCになるわけではありません。逆に、子ども向けに作られた玩具へ出品者が「14歳以上」と書くだけで、対象外にできるわけでもありません。設計、包装、販売時の説明、想定用途などを合わせて判断します。
出典:CPSC:子ども向け製品の判断(2026年9月24日確認)
出典:CPSC:GCCの試験・証明の考え方(2026年9月24日確認)
いつから?通常の輸入と国際郵便で日付が違う
| 対象の輸入経路 | eFilingの適用日 | いま確認すること |
|---|---|---|
| 通常の対象輸入 | 2026年7月8日から実施 | すでに開始済み。対象品を送る前に申告方法を決める。 |
| 国際郵便による対象輸入 | 2026年10月22日から | 郵便用のEntry Type 13でFullまたはReferenceによる提出。郵便だからずっと不要、ではない。 |
| 外国貿易地域(FTZ)からの対象搬出 | 2027年1月8日から | FTZ特有の扱い。日本から普通に直送する取引と混同しない。 |
この日付は電子申告の導入日です。以前からある安全基準や証明書の義務を、開始日まで無視できるという意味ではありません。国際郵便は、発送日だけでなく米国での輸入手続き時点の扱いも確認しましょう。
出典:CPSC:証明書とeFilingの制度更新(2026年9月24日確認)
出典:CPSC:国際郵便のeFiling案内(Entry Type 13)(2026年9月24日確認)
中古カメラ・ゲーム・フィギュアは?「中古だから不要」は危険

中古品を個人で売っているだけでも、確認が必要ですか?

はい。eBayで代金を受け取って売る取引は、個人アカウントでも商業取引です。中古であることだけを理由に、対象外にはできません。
CPSCのFAQでは、適用される安全規則の発効前に製造され、その規則で証明が求められない中古品と、発効後に製造された対象中古品を分けています。ここで見るのは商品ごとの規則の発効日。2026年7月8日より前に作られた商品なら全部免除、という意味ではありません。
出典:CPSC:中古品・商業輸入に関するFAQ(2026年9月24日確認)
| 商品例 | 最初に確認すること | 避けたい判断 |
|---|---|---|
| 大人向けの古着Tシャツ | 素材、用途、製造時期、衣料の燃焼性規則、試験免除・GCCの取扱い。 | 古着だから不要/服は全部同じ書類、と決めつける。 |
| 子ども向け玩具・フィギュア | 想定年齢、小部品、塗装・素材など、該当する玩具・子ども向け規則。 | コレクターも買うから、大人用として扱えばよいとする。 |
| カメラ・ゲーム機・周辺機器 | 製品の用途に加え、ボタン電池等の構造や付属品に関係する規則がないか。 | 電子機器は全品GCC必須、または全品対象外とする。 |
| リチウムイオン電池を含む商品 | CPSC上の確認に加え、配送会社の危険物・電池の受付条件。 | 安全証明があれば、どの配送方法でも送れるとする。 |
この表は対象品の断定表ではなく、調べる入口です。電池の輸送条件はリチウムイオン電池の発送方法で別に確認してください。リコール品や危険な商品は、証明書の電子申告が不要でも販売・輸入できるとは限りません。
出典:CPSC:個別規則のない製品にも残る安全上の義務(2026年9月24日確認)
実例|大人用Tシャツを公式ページで調べてみよう
例は大人用の普段着Tシャツです。最初に現物のラベルを撮り、素材の割合、型番、メーカー、製造時期が分かる情報を集めます。子ども用パジャマなどは別の規則が関わるため、この例を流用しません。
① 規則一覧で「clothing」と検索する
CPSCの規則一覧を開き、検索欄にclothingと入力します。下は公開ページの実画面です。

見るのは「Clothing」の行。右側の案内から衣料の説明へ進みます。「Clothing storage units」は衣類収納家具のことなので、Tシャツと取り違えないでください。検索に出なかっただけで「規制なし」とも判断しません。
② 「規則の対象」と「証明書の要否」を分けて読む
衣料の燃焼性基準の案内のCertificationを見ると、一般衣料について16 CFR part 1610と、一定の成人衣料の例外が示されています。

この英文が伝えていること
一定の試験免除に該当する成人向け衣料では、CPSCの執行裁量によりGCCを求めない扱いがあります。
したがって「衣料の規則がある → すべて同じGCCを作る」という判断はできません。
たとえば、1610.1(d)にはポリエステル等の指定された繊維のみで構成される生地の試験免除条件があります。ただし、素材表示が不明だったり、別素材の部分や別の用途・規則が関わったりする商品まで、この例だけで免除と決めないこと。綿との混紡も「ポリエステルが入っているから同じ」とは扱いません。
出典:CPSC:Flammable Fabrics Act/Certification(上の実画面)(2026年9月24日確認)
出典:CPSC:試験免除となる成人衣料のGCCに関する方針(2026年9月24日確認)
③ 調べた根拠を商品ごとに残す
- 商品を特定する情報:型番・素材・用途・ラベル写真。
- 確認した規則:規則番号、公式ページ、確認日。
- 判断:必要な証明書、適用できる免除・執行裁量の根拠、まだ不明な点。
- 発送準備:輸入者・通関担当へ渡す情報と、利用する配送サービス。

公式のRegulatory Robotを使えば、それだけで認証されますか?

いいえ。商品に関係するルールを探すための補助ツールです。回答条件が違えば結果も変わります。ツールの結果は、検査合格や政府の承認証ではありません。
質問形式で調べたい方はRegulatory Robotも利用できます。どの方法でも、分からない素材や製造年月を推測で埋めないようにしましょう。
証明書が必要だったら、まずメーカー・仕入先へ確認する
ここで必要なのは「それらしいPDF」ではなく、その型番・製造条件の適合を裏付ける情報です。別製品の試験結果や、日本向けのPSE・CE表示だけで米国向けCPC/GCCを置き換えることはできません。
| そろえる情報 | 何を照合する? |
|---|---|
| 商品・適用規則 | 販売する型番と一致するか。必要な規則が抜けていないか。 |
| 製造情報 | 製造年月・場所、製造者の連絡先など。購入した日を製造日にしない。 |
| 試験・免除の根拠 | 実施日、試験した場所・機関、該当規則。試験不要の項目は、適用できる根拠を確認。 |
| 証明・記録の責任者 | 誰が適合を証明し、試験記録を保管するか。連絡可能な情報があるか。 |
CPCで必要な第三者試験と、GCCの試験の扱いは同一ではありません。また、一つの試験が免除されても、別の規則の証明まで不要になるとは限りません。「全商品、1年以内の試験報告書があればOK」といった一律の判断もしません。
出典:CPSC:規則・試験免除・Disclaimの公式ガイダンス(2026年9月24日確認)
仕入先へ送る確認文の例
・米国向けのCPCまたはGCCと、その対象型番・製造ロット
・適用規則と、試験結果または免除を裏付ける資料
・製造年月・製造場所、記録保管者等の連絡先
・当方の取引で資料を利用できる条件
をご案内いただけますでしょうか。資料がない項目は、その旨もお知らせください。
必要な裏付けが集まらない商品は、発送してから考えるのではなく、米国向け出品を止めて調査するか、販売可能性を確認した別の商品・市場へ切り替えます。
申告の流れ|FullとReferenceのどちらで渡す?
eFilingは、輸入者や通関業者などの申告担当が、税関のACEへデータを送信する手続きです。日本のセラー自身が全員、税関システムへ直接入力するという意味ではありません。
ただし「購入者が輸入者だから、自分は何もしなくてよい」とも決めつけないでください。利用サービスでImporter of Record(輸入申告上の責任を負う輸入者)が誰になり、証明と申告を誰が担当するかを先に決めます。
出典:CPSC:輸入者向けeFiling案内(2026年9月24日確認)

| 方法 | 渡すもの | 向いている準備の進め方 |
|---|---|---|
| Full PGA Message Set | 商品識別、適用規則、製造日・製造者、試験日・試験機関、記録保管者等の必要データ。 | 申告担当の指定様式で情報をそろえる。Product Registryの利用が必須とは限らない。 |
| Reference PGA Message Set | Product Registryのデータに対応するProduct ID・Certifier ID・Version ID。 | Registryへ正しい証明書情報を登録し、その版を特定できる3つのIDを渡す。 |
配送会社が通関申告を扱っていても、商品の資料収集やRegistryの登録まで全部代行するとは限りません。FedExの案内でも、製品登録は荷送人・輸入者側で準備する扱いです。
出典:FedEx:CPSC eFilingのデータ提出方法(2026年9月24日確認)
Product Registryは、証明書の情報を管理する場所
以下はCPSC公開マニュアルの画面例です。2025年9月版のため、現在の画面では配置や文言が異なる場合があります。ここでは、登録で何を求められるかを読み解きます。画面の会社名・商品は公式のサンプルです。

- Product Collectionを開き、Add Productsへ進む
上の画像の右上の紫色ボタン。製品名、ブランド、Product IDの種類と値を入力する。 - 製造情報・試験情報を登録する
メーカー、製造年月、CPCまたはGCC、適用規則、試験等の根拠を確認。実際の資料と一致させる。 - 証明書の版と記録保管者を確認する
次の画像のVersionは証明書の版。変更時にどのデータを使うかを特定するための情報。

右下のCertifyは「中身は分からないけれど登録を終える」ボタンではありません。証明する権限と根拠がある担当者が、内容を確認して進めます。権限によってはSubmit for Certificationになり、承認待ちの状態が残ります。
完了後も、登録しただけで荷物の申告は済みません。Reference方式で使う3つのIDと商品・証明書の版を申告担当へ渡し、貨物と対応させます。eBayの商品番号や配送追跡番号を、そのまま3つのIDの代わりにしないでください。
出典:CPSC:Product Registry User Guide V3、37・42・43ページ(画面抜粋)(2026年9月24日確認)
対象外なら「Disclaim」?言葉だけで選ばない
通関上の品目コード(HTS)から、CPSC確認が必要な候補として検知される場合があります。実際には証明書が不要な商品なら、申告担当がDisclaimという対象外等の申告を使う場合があります。
Disclaim A
適用される証明書要求がない商品。商品自体の条件と規則を調べた根拠が必要。
Disclaim B
CPSCの執行裁量に該当する商品。たとえば条件を満たす一定の成人衣料。適用範囲の確認が必要。
「書類が取れないからA」「古いからB」ではありません。上で調べた規則・素材・用途の情報を渡し、該当する申告を確認します。
出典:CPSC:Disclaim A/Bの条件(2026年9月24日確認)
発送前の最終チェック|まず在庫1点でここまで進めよう
- 商品の型番・用途・年齢・素材・製造時期が分かる。
- 該当規則と、CPC/GCCが必要かどうかの根拠を確認した。
- 必要な場合は、対象商品に一致する証明・試験等の情報がある。
- 輸入者・申告担当・利用便と、Full/Reference等の提出方法が決まった。
- 商品・インボイス・電子申告の情報が一致し、未提出の項目がない。

まず何からやるのが一番いいですか?

いま米国向けに出している商品を1点選び、型番とラベル写真をそろえて、適用規則を調べるところからです。同じ商品群でも条件が違えば判断は変わるので、理由ごとに整理していきましょう。
関税の支払方法は米国向けDDP発送、EU向けの製品安全情報はGPSRの設定方法で扱っています。CPSC・DDP・GPSRは別の仕組みです。どれか一つへの対応で、残りも完了するわけではありません。

